舌痛症は亜鉛欠乏症である

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2009年6月25日 第17回日本慢性期医療学会・浜松大会ランチョンセミナー


目次


1.舌痛症は亜鉛欠乏症である
2.舌痛を訴えた患者の全症例
3.舌痛症治療:亜鉛補充療法~治癒症例の検討
4.舌痛症治療:亜鉛補充療法~中断症例(治癒可能)の検討
5.舌痛症治療:亜鉛補充療法~中断症例(効果不明・未治療)の検討
6.非舌痛症と考えられる症例の検討


表一覧


表1:舌痛症患者全症例一覧表
表2:舌痛症患者の内、亜鉛補充療法治癒症例
表3:舌痛症患者の内、亜鉛補充療法中断症例(治癒可能)
表4:舌痛症患者の内、亜鉛補充療法未治療・中断症例(効果不明)
表5:舌痛症患者の内、非舌痛症と考える症例


1.舌痛症は亜鉛欠乏症である

舌痛症(舌が痛い、ヒリヒリする、滲みる等と慢性的に訴え、 舌、口腔内に肉眼的異常所見を認めない。 いわゆる舌痛症)は、大部分が亜鉛欠乏症である。

2002年10月から2009年3月11日までの、亜鉛欠乏症疑い登録例598例のうち、舌が痛い、ヒリヒリする、ないしは滲みる等と訴えた患者は41名(48症例)で 、そのうち亜鉛補充療法にて治癒した者22名(29症例)、その他、治癒可能性大のもの7例、早期治療中断で、判定未定としたもの10-1例であった。

以上、少数例外を除いて、大部分のいわゆる舌痛症は、亜鉛欠乏症と言ってよいと考えるが、如何か?!

2.舌痛を訴えた患者の全症例

2-1.症例概要

対象者 2002年10月から2009年3月11日までのピリピリ、滲みる等舌痛を訴えた全患者
性別 男性5名、女性36名、計41名(48症例)
年齢内訳 43歳1名、60代16名、70代12名、80代12名、95歳1名
初診時亜鉛血清濃度 43~95μg/dl
(内訳 65μg/dl以下:19例、66~78μg/dl:15例、80μg/dl以上:7 例)
治療内訳 亜鉛補充療法にて治癒を確認した者 22例(29(+1)症例)
治癒の可能性大の者 7例(7症例)
治療中断で未定の者 10例(10-1症例)
非亜鉛欠乏症と考える者 2例
症状 少数例外を除いて、食欲不振、味覚障害、口内違和感 口角炎、皮膚症状等々の多彩な亜鉛欠乏症状の2~3を合併している。
1~2症例除いて、アフタ性口内炎以外に口内に肉眼所見を認めず。

性別 年代内訳 初診時亜鉛濃度
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  • 症例2,6,7,24,27,35は二回以上の舌痛を繰り返している。
  • 症例3は初診時、2ヶ月余にわたり、計5週間(W)の投薬を受け、他院で治癒例。
コメント

  • 多くの報告と同じく、本調査に置いても舌痛症症例は圧倒的に女性に多い。
  • 殆どの症例において、他の多彩な亜鉛欠乏症状を合併している。
  • 初診時血清亜鉛値は65μg/dl以下19例、66μg/dl以上22例とほぼ半々である。

2-2.舌痛症患者全症例一覧

※1:M・・・月(ヶ月)/W・・・週/〇数字・・・診察時の投与日数+次回薬のみでの投与日数

表1:舌痛症患者全症例一覧表



初診時 症状 経過


※1
再発時 再々発時 その他の症状・備考









1 f 84 69 × 舌が滲みる 02/07/02- 口渇、口乾、味覚障害、うつ?
2 f 88 42 舌痛 02/10/29-11/26 1M 57 うつ?口内不快、食欲減、下痢
3 f 68 61 舌ひりひり 03/12/17→04/02/** ⑤W * 口渇 (他医でプロマック継続◎)
4 f 89 55 舌痛 02/11/12-11/29 1M 食欲、元気度、うつ
5 m 87 78 舌が滲みる 03/03/24 X 0 口内苦い
6 f 62 80 舌痛 03/05/07-08/27 3M 64 * (-)
7 f 85 64 舌が滲みる 03/11/29-04/01/27 2M 61 食欲不振 服薬?
8 f 85 66 舌、咽が滲みる 03/08/19-11/18 3M 皮膚、咽頭、食欲、多彩
9 f 86 70 口内ヒリヒリ感 03/08/18 X 0 多剤、認知
10 f 77 58 口内ヒリヒリ感 03/10/08ー04/02/24 4M 味覚障害、口内、咽頭痛
11 f 95 55 舌炎、舌滲みる 04/02/24-04/30 2M 舌が荒れる
12 f 80 56 ◯△ 滲みる感じ 04/02/09-04/05(+2W) 2M 口内の荒れ
13 m 68 65 ◯△ 舌痛 04/07/05-11/22 5M (マ)口唇痛、精神科
14 f 68 72 ◯△ 舌痛 04/07/08-11/10 4M (マ)食欲不振、苦み
15 f 69 74 舌痛感じ? 04/07/06-07/26(+4W) ⑥W (マ)口内苦い?
16 f 69 62 舌痛 04/06/30-07/05(+1W) ②W (マ)食欲不振
17 f 64 73 舌痛 04/07/08(+4W) ④W (マ)食欲不振、舌ざらざら感
18 f 66 97 舌痛 04/09/14-10/18(+2W) ⑥W (マ)口乾、違和感、初期例
19 f 66 70 舌痛 04/09/22-07/05/20 味覚障害、食欲不振、口唇痛
20 m 62 82 舌炎所見 滲みる 04/11/01-11/19 ②W 舌炎 、白苔 デキサルチンに変更
21 f 80 62 舌の滲み 06/06/20-07/24 1M 口角炎、食欲不振、舌の荒れ感
22 f 43 61 舌炎ピリピリ 04/06/21-07/27 1M 食欲不振
23 f 74 59 舌痛 04/03/08-04/12 1M 味覚異常、食欲不振、違和感
24 m 75 72 舌痛 05/03/28-05/06 1M 口乾、Fe欠乏性貧血
25 f 81 56 舌滲みる感じ 05/07/03-09/29 3M 72 舌違和感、口唇痛
26 f 75 58 舌滲みる 05/06/24-12/20 6M 口内びらん、義歯の潰瘍
27 m 67 65 舌先のシビレ感 06/04/24-08/22 4M しびれ?痛み?味覚異常
28 f 72 86 舌痛 06/03/22-05/30 2M 97 食欲不振、うつ
29 f 63 61 ◯△ 舌、口内ピリピリ 06/07/03-10/24 4M 口角炎、口唇乾燥、口内違和
30 f 73 92 口内が滲みる 06/08/01-08/28 ④W びらん。
31 f 73 75 舌先ヒリヒリ 06/10/31-07/02/13 4M 食欲不振、違和感、うつ
32 f 71 67 舌尖の痛み 06/11/28-07/02/13 3M アフタ、違和感、口内炎様
33 f 81 77 ◯△ 舌痛 07/01/10-06/05 5M 味覚障害、食欲不振
34 f 64 64 舌が滲みる 07/03/12-07/23 4M 違和感、口内荒れ感
35 f 77 74 舌痛 07/03/18-05/15 2M 71 口角炎
36 f 79 65 舌痛 07/04/17-08/10/21 食欲不振、味覚障害、皮疹
37 f 71 85 × 舌 滲みる? 07/12/18 X 口内違和感、損傷、精神
38 f 62 71 舌痛のみ 07/06/28-08/22(+8W) ⑪W 効果無し症例? 副作用?
39 f 74 87 ◯△ 舌痛 08/01/26-05/23 4M 金属アレルギー?中止例
40 f 67 72 ◯△ 舌痛 08/12/03-追跡中 4M 口内ガサガサ感
41 f 61 56 舌痛 08/11/05-09/01/28 3M 違和感、口角炎、口唇炎

3.亜鉛補充療法治癒症例

3-1.亜鉛補充療法治癒症例一覧

表2:舌痛症患者の内、亜鉛補充療法治癒症例



初診時 症状 経過


※1
再発時 再々発時 その他の症状・備考









2 f 88 42 舌痛 02/10/29~11/26 1M 57 うつ?口内不快、食欲減、下痢
4 f 89 55 舌痛 02/11/12~11/29 1M 食欲、元気度、うつ
6 f 62 80 舌痛 03/05/07~08/27 3M 64 * (-)
7 f 85 64 舌が滲みる 03/11/29~04/01/27 2M 61 食欲不振 服薬?
8 f 85 66 舌、咽が滲みる 03/08/19~11/18 3M 皮膚、咽頭、食欲、多彩
10 f 77 58 口内ヒリヒリ感 03/10/08~04/02/24 4M 味覚障害、口内、咽頭痛
11 f 95 55 舌炎 舌滲みる 04/02/24~04/30 2M 舌が荒れる
19 f 66 70 舌痛 04/09/22~07/05/20 味覚障害、食欲不振、口唇痛
21 f 80 62 舌の滲み 06/06/20~07/24 1M 口角炎、食欲不振、舌の荒れ感
22 f 43 61 舌炎ピリピリ 04/06/21~07/27 1M 食欲不振
23 f 74 59 舌痛 04/03/08~04/12 1M 味覚異常、食欲不振、違和感
24 m 75 72 舌痛 05/03/28~05/06 1M 口乾、Fe欠乏性貧血
25 f 81 56 舌滲みる感じ 05/07/03~09/29 3M 72 舌違和感、口唇痛
26 f 75 58 舌滲みる 05/06/24~12/20 6M 口内びらん、義歯の潰瘍
27 m 67 65 舌先のシビレ感 06/04/24~08/22 4M しびれ?痛み?味覚異常
28 f 72 86 舌痛 06/03/22~05/30 2M 97 食欲不振、うつ
31 f 73 75 舌先ヒリヒリ 06/10/31~07/02/13 4M 食欲不振、違和感、うつ
32 f 71 67 舌尖の痛み 06/11/28~07/02/13 3M アフタ、違和感、口内炎様
34 f 64 64 舌が滲みる 07/03/12~07/23 4M 違和感、口内荒れ感
35 f 77 74 舌痛 07/03/18~05/15 2M 71 口角炎
36 f 79 65 舌痛 07/04/17~08/10/21 食欲不振、味覚障害、皮疹
41 f 61 56 舌痛 08/11/05~09/01/28 3M 違和感、口角炎、口唇炎、掻痒

3-2.患者概要

  • 男性2名、女性20名で、圧倒的に女性が多数を占める。
  • 亜鉛補充療法治療症例はこの22例(27症例)と中断例の症例3。
  • 症例6は3回繰り返し、症例2、6、25、28、35は2回の繰り返し。
  • 症例6は舌痛のみ、他は何らかの複数の症状を併せ持つ。
  • 初診時Zn値42~86μg/dl。
    内訳は、65μg/dl以下:14例、66~75μg/dl:6例、80μg/dl以上:2例
  • 癒に要した亜鉛補充療法の期間
    1M前後:6例、2M前後:4例、3M前後:5例、 4M前後:4例、6M以上:3例

性別 年代内訳 初診時亜鉛濃度 治療に要した期間
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3-3.解説

  • 治療症例の初診時血清亜鉛濃度はやや低値に多い傾向であるが、いわゆる基準値内にも存在し、80、86μg/dlの高値にも存在する。
  • 治癒に要した期間は多くは3ヶ月から4ヶ月前後以内であるが、 6ヶ月を超え、1年半から2年半を要したものもある。
  • いずれも、他の亜鉛欠乏症の亜鉛補充療法と同じく、効果発現の早い症状の変化、Zn値やAl-P値の変化など総合判断する。
  • 今後、典型的な症例の病歴、経過を徐々に載せる。参考にしていただければ幸いである。(2013年第58回日本口腔外科学会学術大会ランチョンセミナーでの講演内容も近日公開予定である)

3-4.病歴

症例04: 食欲不振や慢性の下痢など亜鉛欠乏症の症状を持つ患者
舌口腔症状から舌痛発症し、約二年半舌痛に悩み、亜鉛補充療法で2Wの極短期で治癒した症例
症例19: 約10年前に発症の味覚障害とアフタ性口内炎頻発の患者
2~3年前より、口内から口周囲のピリピリ、火傷様の舌痛で発症。食欲不振や口腔内違和感の亜鉛欠乏症状も合併。
軽快、悪化しつつ他の欠乏症状含め約2年で治癒した症例
症例36: 上顎歯肉の痛みから発症。舌尖が痛い滲みると訴える患者
口内のザラザラ感、手掌足底の皮疹、口唇の痛みなど合併。
時々痛みを忘れる時が生じ、忘れる日が生じ、ぶり返しては食欲不振など多彩な亜鉛欠乏症状と共に約1年半で治癒
症例28: うつ症状もある血清亜鉛高値者。Zn値の変動大。
コメント

症例4の極短期治療症例から、症例19・36の年余にわたる長期例まで、治療に要する期間は異なるが大多数は1~4ヶ月で治癒する。

3-5.治療経過

症例4

女性 80代

【初診日】 1999/01/**
【傷病名】 うつ、便秘、口内炎
【既往歴】 1999/01/**: 食欲不振で初診。高脂血症や虚血性心疾患などで多剤投与されていた。 食欲無く、食べても、下に降りて行かない様で、、、。胃内視鏡等に所見無し。
1999/04/**: 不眠、不安、振えなどで、投薬増量される。
1999/07/**: 下痢が続く。大腸内視鏡検査などで所見無し。
【現病歴】 2000/05/**: 口の中が苦いと歯科受診。口内に特別の所見認められず。
2000/07/**: 舌が辛くて、痛くて、食事がとれない。 以後。食欲がない。舌の先端の痛み、口や舌が気持ち悪い。歯がおかしい。 舌をベロベロと動かして、訴え続ける。舌に肉眼的所見認めず。
2001/**/**: 舌痛に対してありとあらゆる治療をしたが、何の効果も認められず。 殆どねたり、起きたりの生活で、うつ、その他として往診医療。
【経 過】 2002/10/29: 食欲不振。美味しくない等の訴えもあるので、亜鉛欠乏か?と検査。
Zn:55
2002/11/12: 舌痛も、もしかして亜鉛欠乏か?とプロマック投与開始。
2002/11/28: 舌のザラザラ感消失。舌痛もない!!
2002/12/10: 味が出てきた。美味しい。舌がベロベロ動いて困る
2002/12/24: 舌の変な感じなくなった。元気が出てきた。
Zn:73 Al-P:329
2003/01/28: 美味しくはないが。舌痛無し。
2003/05/08: 元気。機嫌良し。
Zn:91 Al-P:632
2004/08/17: 機嫌良く、食事食べている。舌痛、勿論無し。
Zn:96 Al-P:495

症例19

女性 60代

【初診日】 2004/09/22
【傷病名】 亜鉛欠乏症:味覚障害、食欲不振、アフタ性口内炎、舌痛症
【現病歴】 10年前頃、甘みがないことに気づく。次第に味が判らなくなって、軽重繰り返すが、殆ど、判らなくなる。
2~3年前より、口から口の周りがビリビリし始め、半年前より舌尖が火傷した様な感じが、 強くなったり、軽くなったりする。酸っぱいものが滲みる。塩味強いのは判る。口内苦みあり。
以前よりアフタ性口内炎あり、最近は1回/月程発症。
【経 過】 2004/09/22: 初診時:味覚検査 かなり判らない状態。
Zn:70 Al-P:176
2004/09/28: 以前は、傷がもっと早く治った様な気がする。プロマック投与を開始。
2004/10/12: 口内炎が比較的早く治った。いつの間にか食欲出てきて、食べるようになった。
2004/11/08: 口内炎ひどくならなくなった。口内の痛いのかなり良い。味が出てきた。
2004/12/06: 口内のひどく痛いの良くなって、口内炎生じない。口唇のビリビリ忘れて。
Zn:83 Al-P:194
2005/01/04: のどのイガイガする感じ良くなり、口内中の痛み良くなった。舌の尖端の痛みまだ有り。口周のビリビリまだとれない。アフタ性口内炎11月より発症せず。
2005/02/14: 食欲普通になった。体重増。口内全体であった痛みが、舌尖だけになる。口唇のビリビリまだあり。
2005/03/15: 口唇のビリビリと舌尖の痛みのみ。口内炎全くなく、口内の感じ大変良くなる。
Zn:82 Al-P:263
2005/04/18: 舌尖端のビリビリの範囲狭まる。口唇のビリビリ残り、左口角冷たい感じ。
2005/05/23: 口内あまりひどく痛くない。口唇同じ。左口角冷たい感じ軽く。
Zn:66 Al-P:182
2005/06/28: 小さな口内炎でたが。舌先の痛み常時ではない。下口唇のビリビリ強い。
2005/08/30: 食欲出てきて、おいしい感じでる。体重増加。味覚検査:甘味舌先にでる。
Zn:100 Al-P:190
2005/11/02: 口唇の痛み少しあるが、気にならなくなる。食べられるのがうれしい。
Zn:71 Al-P:183
2006/04/03: まだ雪が1メートル(遠く遠方より通院の人)口内は殆ど良い。口内炎出来ず。食欲普通、味はおいしい。口唇周囲のぴりぴりは残っているが。
Zn:94 Al-P:198
2006/08/10: 足を悪くして、通院できなかったが、適当にプロマック服用。元気。
2006/11/11: 薬のみ、8W持参。
2007/03/24: 薬のみ、8W持参して、受診終了。

症例36

女性 70代

【初診日】 2007/04/17
【既往歴】 2007/01頃: 上顎滲みるような変な感じ。耳鼻科、口内炎? デキサルチン等処方。
2007/02: 上顎の歯肉に痛み、あちこち動く。歯科治療で治癒せず。耳鼻科ヘ。
07/02/中旬: 両手掌に掻痒、剥皮、紅斑。背部腹部に皮疹→皮膚科、信大皮膚科テで薬疹?
07/03/末: 足底の剥皮亀裂→汗疱でないか?
自律神経失調症と言われている。体重減47kg→40kg。 不眠。
【現病歴】 2007/04/06: 上顎歯茎が痛い。舌の尖が痛い、滲みる。→肉眼的所見無し Zn:65 硫酸亜鉛処方され、舌痛不変だが、手掌やや治まる。 口内ザラザラ感有り。食欲、時間だから食べている。食べなければ!! 昨年暮れまでは偏食で、美味しくないが、普通には食べていた。
Tp:7.2 Alb:4.5 BUN:16.6 Cre:0.83 R:405: W4900 Zn:88 Al-P:169
【経 過】 2007/04/17: プロマック投与開始。
2007/05/01: 舌痛いくらか軽く。時々忘れる時あり。口内ザラザラ感軽くなる。食欲変わらず。。手掌の皮疹も同じ。
2007/05/08: TEL: 舌、口内は良い、手掌の痛みも軽快。だが、口唇、上顎痛くて大変。
2007/06/04: 上顎の痛み、滲みる感じ、口内乾く。口唇ぴりぴり。 舌痛は時にあるが、殆ど良い。食欲出てくる。手掌かなりよいが、もう少し。
Zn:78 Al-P:170
2007/07/10: 舌尖の痛み少し良いが、食べる時痛む。口唇のぴりぴり感あり。 口内のザラザラ少し良い。手掌かなり良い。皮膚の感じかなり良い。
Zn:100 Al-P:155
2007/08/07: 口内のザラザラまだあり。舌痛は痛くない日、痛い日あり。手掌、爪はかなり良い。
2007/09/11: 口内のザラザラ感可成り良くなる。舌の痛み時々あるが、無痛の時間長くなる。
2007/10/02: 舌痛は食事時熱いもの辛いものであるが、普通はよい。口唇のぴりぴり感あり。 手掌の皮疹は少なくなって、剥皮無くなる。食欲少し増。
Zn:74 Al-P:197
2007/11/27: 舌痛熱いもの、辛いもの気を付けているが、殆ど大丈夫。
2008/02/18: 舌痛熱いもので。口唇:痛み無し。口内ザラザラ感無し。手掌可成りきれいに
2008/03/25: 自律神経失調の症状あり、投薬を受けているが、舌痛、皮疹、食欲ほぼ良。
Zn:115 Al-p:185 TP:6.9 Alb:4.1
2008/08/18: 少し痛いこともあるが、もう殆ど良い。普通の生活が出来る。手掌、足底、口角全く良い。
Zn:92 Al-p:189
2008/10/21: 舌、熱いもの、辛いもの気になるが、普通に食べられ、問題なし。 口唇少しピリピリあり。手掌、足底全く良い。治療を完了とする。

症例28

女性 70代

【初診日】 2006/03/22
【傷病名】 舌痛、慢性下痢、食欲不振
【現病歴】 2ヶ月前から舌尖端に痛み。
【経 過】 2006/03/22: プロマック投与開始。
Zn:86 Al-P:275
2006/04/05: 舌痛、舌の乾きは変化無しという。
Zn:101 Al-P:288
2006/05/01: 舌痛何時間か忘れる時あるように。やや元気になった?
Zn:128 Al-P:300
遠方で通院時車酔いが激しい。近医に紹介。その後舌痛無くなり、近医に通院とのこと。
2007/09/18: 再診。近医で多剤服用。8月頃より、舌尖に痛み発症。口内温ぼったく、食欲不振、 精神症状もあって、パキシル服用中。
Zn:97 Al-P:200
2007/09/25: プロマック投与開始。
2007/10/10: 舌ザラザラと舌痛、夜になるとノドも痛い。
2007/10/23: 舌ザラザラ少し軽快。
Zn:176 Al-P:287
2007/11/05: 舌ザラザラ可成り良くなり、舌痛もあるも、気にならなくなる。プロマック2W処方を持って、受診中止。前回と合わせて、〇と認定。

4.亜鉛補充療法中断症例(治癒可能)

4-1.亜鉛補充療法中断症例(治癒可能)一覧

表3:舌痛症患者の内、亜鉛補充療法中断症例(治癒可能)



初診時 症状 経過


※1
再発時 再々発時 その他の症状・備考









12 f 80 56 ◯△ 滲みる感じ 04/02/09~04/05(+2W) 2M 口内の荒れ
13 m 68 65 ◯△ 舌痛 04/07/05~11/22 5M (マ)口唇痛、精神科
14 f 68 72 ◯△ 舌痛 04/07/08~11/10 4M (マ)食欲不振、苦み
29 f 63 61 ◯△ 舌、口内ピリピリ 06/07/03~10/24 4M 口角炎、口唇乾燥、口内違和
33 f 81 77 ◯△ 舌痛 07/01/10~06/05 5M 味覚障害、食欲不振
39 f 74 87 ◯△ 舌痛 08/01/26~05/23 4M 金属アレルギー?中止例
40 f 67 72 ◯△ 舌痛 08/12/03-追跡中 4M 口内ガサガサ感

4-2.症例の検討

症例12: 1年前より始まった症状、補充療法2ヶ月で、症状軽快するも、 舌先にまだ滲みる感じ残って、治療中断。
症例13: 2004年の初期の症例。マスコミの情報にて、遠方よりの受診患者。 精神的なものとのことで、大量の抗精神薬の処方を受けている。冬期遠方なので、TELにて症状の軽快、消失、ぶり返しの報告あり。亜鉛補充療法ではこの様な経過で、治癒して行くもの。
症例14: やはりマスコミ症例。10年前よりの長期症状継続例。補充療法で 約2ヶ月で症状軽快の兆しが見え、遠方なので投薬で、中止。血清亜鉛値も増加しつつあるようであるが、値は午後の測定によるもの。
症例29: 補充療法3ヶ月で、ビリビリと滲みる感じは可成り改善しつつあり。 口角炎や口内違和感、口唇のピリピリ感など他の亜鉛欠乏の症状もあり、軽快しつつあり。治癒の可能性大。
症例33: 舌痛 食欲不振、味覚障害が主訴。舌の置き場の無い程の痛み」 亜鉛補充療法で、痛みの忘れる時が出て、忘れる日が出て、その日が続くが、5月末、舌先に痛みが出て、投薬受けて、中止。こうした経過で、治癒して行くのが典型的。治癒の可能性大とす。
症例39: 典型的ないわゆる舌痛症例。長期にわたる舌痛治療の過程で、 金属アレルギーと言われ、義歯の金属を徹底して除去されている。亜鉛補充療法で確かに補充療法の効果が現れていると考えるが、金属アレルギーの恐怖を乗り越えることは難しい。受診中止。
症例40: 可成り亜鉛補充療法の効果期待できそうであるが、追跡中。
コメント

金属アレルギーについて:
蛋白質に金属が関与して、ハプテンとなり、抗原となって、アレルギー反応を生ずるのは教科書の示す通りだが、生体に必須の元素亜鉛にその機序があるのか??問題である。亜鉛の原子核の電子配置を考えてみると、安定した元素であるため、亜鉛のアレルギー反応は考えにくい。

4-3.治癒経過

症例12

女性 80代

【経 過】 2004/02/02: 一年前より、口内、上口蓋がおかしい。舌が滲みる。特に最近酷い。
Zn:56 Al-P:188
2004/02/09: プロマック処方。
2004/03/15: ザラザラ感余り無くなった。滲みる感じもなくなった感じと言う。
2004/04/05: 可成り良いが、舌の先が滲みる。 中止で〇△。
症例13

男性 60代

【経 緯】 マスコミ例
【経 過】 2004/07/05: 遠方より受診。愁訴 舌痛、口唇痛。
Zn:65 Al-P:315
2004/07/05: 初診時より、1Wのプロマック投与開始。
2004/07/12: 舌痛増加?
2004/07/26: 可成り良い。痛み忘れる時有り。
Zn:82 Al-P:338
2004/09/21: 経過は幾分良いような感じがする。
Zn:69 Al-P:376
2004/11/22: 痛みが少なく、食欲増有り。
Zn:83 Al-P:368
2005/01/27: TELにて、食欲は増加したが、痛みには波があると報告、中断。
2005/06/27: 再診。舌痛、口唇痛無くなったり、出現したりと。プロマック4W処方、その後受診せず。後の経験より、完治の可能性有り〇△。
症例14

女性 60代

【経 緯】 マスコミ例
【経 過】 2004/07/06: 舌痛、食欲不振、口内の苦みで受診。
Zn:72 Al-P:247
約10年前歯科の治療して、下口唇の痛み。2ヶ月後に舌痛。最初、辛いもの熱いものに痛み。
現在、塩辛いもの、酸っぱいものも痛くて、舌に触れない様、奥に入れ食べる。
舌も下口唇も滲みる。07/06初診時よりプロマック処方。
2004/07/20: 舌痛殆ど変わらず。食欲も出てこない。味覚検査やや異常。
2004/08/16: 余り変わりがないようである。
Zn:79(PM2:00測定)
2004/09/13: 舌痛10→8に少し軽くなった。塩気のもの以前食べられなかったが、食べても少し良い。
苦い感じも少し良い。空腹感ないが、キチッと食べている。
遠方で、8W投薬受け、受診中止。 長期継続の症状軽快しつつあり、〇△。
症例29

女性 60代

【経 過】 2006/06/27: 口内ピリピリ滲みる、食欲はありで、受診。
Zn:61 Al-P:324
2006/07/03: プロマック投与開始。
2006/07/19: 舌口内のピリピリ少しは良くなる。
2006/09/02: ピリピリ感、若干あるも、前よりはよい。口角炎、口唇の乾き良い。
口内膜の張った感じ有り。
Zn:71 Al-P:348
2006/09/30: カレーが滲みなくなる。
2006/09/26: 口角の?ピリピリ遠のく。
Zn:67 Al-P:333
2006/10/12: プロマック2Wの処方で中止。経過より、治癒の可能性大だが、〇△。
症例33 女性 80代
【経 過】 2007/01/10: 舌痛、食欲不振、味覚障害を愁訴に受診。口周のピリピリ感と舌痛
今回の3ヶ月前からは舌の置き場がないくらい痛い。
Zn:77 Al-P:178
味覚検査で異常有り。プロマック投与開始。
2007/01/18: 食欲ややでる。舌痛午前中忘れることあり。
2007/02/06: 午前中忘れてる。夜ねる前にちりちりと痛む。
Zn:68 Al-P:188
2007/02/27: 食、徐々に進む。味覚検査やや改善か? 薬剤の服用適当である。
2007/**/**: 夜が駄目である。昼間は時々忘れ、良い時でる。舌がガサガサである。
2007/**/**: 薬のみの投与。忘れる時が出、忘れる日が続く。
2007/5月末: 又、舌尖に痛みと。4Wの投薬受け受診中止。〇△。
症例39

女性 70代

【経 過】 2007/12/10: 舌痛、Znの金属アレルギー?2年前歯科受診から舌がヒリヒリ、
以後、続いて、軽快したり、急に悪化したり、全く痛くなかったり、朝良く、夕刻悪化。
歯科でZn等の金属アレルギーと言われ、全部除去したが、症状続く。
最近、のどの奥におできが出来たような違和感感じ、耳鼻科受診、異常なしと。
最近1ヶ月、口内の苦い感じあり、又、口唇にズキン、ズキンとした痛みあり。
金属アレルギーのデータ取り寄せ。
Zn:87 Al-P:194。
2008/03/27: 症状の変化なく。プロマックの処方開始。
Zn:75 Al-P:205
2008/03/27: 特に変わりなし。服用4週以後に一度、顔面に小水疱の皮疹パーッと出現したが、しばらく置いて服用再開、困ったこと無しと。食欲普通。
2008/04/15: ヒリヒリ感余り変わらず。舌痛については変化無し。
Zn:86 Al-P:209
2008/05/19: 舌痛5/10程度に、口唇痛も5/10程度に軽快と。食事美味しい。
Zn:90 Al-P:182
2008/06/02: TELあり。ずーっと良かったが、05/23 頃、舌痛が、又、生じてる。
プロマックの服薬中止したら良かったが、服用するとまた痛くなる、と。
金属アレルギーのことが、気にかかっているようで、受診中止。〇△可能性大。
症例40

女性 60代

【経 過】 2008/12/02: 4~5年前から舌が滲みる。辛いもの、熱いものが駄目。
白色舌苔の割れを気にしている。口内のガサガサ感と滲みるのは憎悪してきている。
舌が厚ぼったい感じ。
Zn:72 Al-P:273
食欲、口内炎、口角炎、掻痒等は無し。
2008/12/16: 特に変わりないが、薬で安心感ありと。
2009/01/14: 昨年10月より続いてきた舌痛が2~5日前より治まった。
口内の感じは余り変わらない。プロマック8W処方、追跡中だが、一応〇△と分類。

5.亜鉛補充療法未治療、早期中断(効果不明)症例の検討

5-1.亜鉛補充療法未治療・早期中断症例(効果不明)一覧

表4:舌痛症患者の内、亜鉛補充療法未治療・中断症例(効果不明)



初診時 症状 経過


※1
再発時 再々発時 その他の症状・備考
※2









3 f 68 61 舌ひりひり 03/12/17→04/02/** ⑤W *     口渇(他医でプロマック継続◎) 
5 m 87 78 舌が滲みる 03/03/24 X 0         口内苦い
9 f 86 70 口内ヒリヒリ感 03/08/18 0         多剤、認知
15 f 69 74 舌痛感じ? 04/07/06-07/26(+4W) ⑥W         (マ)口内苦い?
16 f 69 62 舌痛 04/06/30-07/05(+1W) ②W         (マ)食欲不振
17 f 64 73 舌痛 04/07/08(+4W) ④W         (マ)食欲不振、舌ざらざら感
18 f 66 97 舌痛 04/09/14-10/18(+2W) ⑥W         (マ)口乾、違和感、初期例
20 m 62 82 舌炎所見滲みる 04/11/01-11/19 ②W         舌炎、白苔。デキサルチンに変更
30 f 73 92 口内が滲みる 06/08/01-08/28 ④W         びらん。
38 f 62 71 舌痛のみ 07/06/28-08/22(+4W) ⑪W         効果無し症例? 副作用?

※1:〇数字は、診察時投薬と次回薬のみにて投与した日数の合計
※2:(マ)は、マスコミ報道にて来院された方

5-2.症例の検討

症例3: 結果から判断して、本来治癒症例に分類されるべきもの
症例5,9: 未治療(未投薬)のため、この様な分析からは、除外されるべき症例。
症例15,16,17: 短期中断症例で、効果不明であるが、適切な亜鉛補充療法をキチッとした管理のもとに行えば治療の可能性。
症例18: 初診時血清亜鉛値が97μg/dlにて、高亜鉛値であったため、2004年当時は、まだ経験が乏しく、亜鉛欠乏症でないと判断した。しかし、血清亜鉛値の基準値は正常値でなく、中には高血清亜鉛値の亜鉛欠乏症が存在する。現在では治療完結されていたと考えられる。
症例30,38: 亜鉛補充療法の経過の中で生じうる症状の変化であり、患者さんが納得すれば、慎重に治療を完結出来た可能性あり。

5-3.治療経緯

症例3

女性 60代

【経 過】 2003/12/**: 舌ヒリヒリすると初診。
Zn:61
2003/12/17: 3Wプロマック処方
2004/03/02: 2Wプロマック処方
バラバラに服用して、治療中断で△。
2008/11/**: 他疾患で受診時、前回後、他院でプロマック投与受け、舌痛無しと◎。
症例5

男性 80代

【経 過】 ****/**/**: 食事不味い。口内滲みると受診。未治療で△。
Zn:78
症例9

女性 80代

【経 過】 ****/**/**: 口内炎?口内ヒリヒリと言う。認知症で大量の薬剤投与有り。未治療で△。
症例15

女性 60代

【経 緯】 マスコミ報道により来院
【経 過】 2004/07/06: 遠方より受診。舌痛?口内苦い感じ??プロマック開始
Zn:72
2004/07/26: 舌痛気付くと痛い気も。忘れる時出て?受診中止△。
症例16

女性 60代

【経 緯】 マスコミ報道により来院
【経 過】 2004/06/30: 遠方より受診。10年来、食欲不振。5年前より、時々舌痛。歯科で亜鉛不足?亜鉛にアレルギー。
受診2回目で転医△。
Zn:62 Al-P:301
症例17

女性 60代

【経 緯】 マスコミ報道により来院
【経 過】 2004/09/06: 遠方より受診。舌尖の痛みヒリヒリ、ザラザラ。食欲低下。
プロマック4Wの処方を受けて、再受診せず。△。
Zn:73 Al-P:212
症例18

女性 60代

【経 緯】 マスコミ報道により来院
【経 過】 2004/09/07: 遠方より受診。2003/07歯科の治療中に舌痛発症。口乾、口内違和感
Zn:97 Al-P:243
2004/09/14: 血清亜鉛高値であるが、プロマック処方。
2004/10/18: 口乾少し良い?舌痛は変わらずと。4Wの処方で、受診中止で△。

高亜鉛値で当時はまだ、欠乏症とは考えられなかった。しばしば、アフタ性口内炎あり。

症例20

男性 60代

【経 過】 2004/10/26: 舌滲みると受診。
Zn:82 Al-P:312
2004/11/01: 2W投与。
2004/11/08: 舌の滲み良い?とのこと。
2004/11/19: 舌の滲み有りと他剤にし、中止。△。
症例30

女性 70代

【経 過】 2006/08/01: 2~3ヶ月前より口内が滲みると受診。初診時よりプロマック処方。
Zn:92 Al-P:351
2006/09/28: 口内の滲みるの少しはいいかと言う。歯肉にびらん有り、亜鉛値も高値で、Al-P値も変化無しとして、判断?△。
Zn:92 Al-P:336
症例38

女性 60代

【経 過】 2007/06/26: 2年程前より舌の奥に火傷のような痛み発症、次第に舌尖に。現在、常時ピリピリ、夜目が覚める。初診時よりプロマック投与。
Zn:71 Al-P:178
2007/07/09: 舌痛不変
Zn:90 Al-P:174
2007/08/08: 薬で口内苦い、副作用かもと中止。舌痛は不変だが、亜鉛値徐々に増加するので
Zn:98 Al-P:175
2007/09/22: 苦さは薬と関係なしとのことで、しばらく服用続けるよう4W処方で受診中止△。

6.非舌痛症と考える症例

6-1.非舌痛症と考える症例一覧

表5:舌痛症患者の内、非舌痛症と考える症例



初診時 症状 経過


※1
再発時 再々発時 その他の症状・備考









1 f 84 69 × 舌が滲みる 02/07/02-           口渇、口乾、味覚障害、うつ?
37 f 71 85 × 舌滲みる? 07/12/18 X           口内違和感、損傷、精神

6-2.症例の検討

症例1
【経 過】 ****/**/**: 舌の滲みなどの訴えあるが、うつ状態か、訴えの確認が充分できない症例
症例37
【経 過】 ****/**/**: 口内の損傷があって、いわゆる舌痛症とは考えられない症例

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