再び、多数で多彩な亜鉛欠乏症~舌痛症②~

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舌痛症はじめ舌・口腔内違和感、異味症等など 多くは亜鉛欠乏症である。口腔内扁平苔癬、白板症も 亜鉛欠乏症の可能性が高い。

目次(スライド)
01: 再び、多数で多彩な亜鉛欠乏症!!
02: 舌痛症の亜鉛補充療法結果①
03: 舌痛症の亜鉛補充療法結果②
04: 舌痛症治癒症例の亜鉛補充療法期間
05: 舌痛症例 【初発時】
06: 舌痛症例 【再発時】
07: しばしば訴えない 潜在する傾向の症状
08: Zinc alleviates pain through high-affinity binding to the NMDA receptor NR2A subunit.
Zn2+はNR2Aサブユニットを含むNMDA受容体の活性を抑制することで鎮痛効果をもたらす
09: 野崎千尋論文 Zn2+のNMDA受容体の活性抑制機序
10: 最後に
表一覧
表1: 舌痛症患者全症例一覧表(既出)
表2: 新・舌痛症患者全症例一覧表(表1に追加で新しい事例を加えた物)
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【記】

『舌痛症は亜鉛欠乏症である』は、2009.06.25開催の第17回日本慢性医療学会・浜松大会ランチョンセミナーでの『亜鉛欠乏症について』の講演の内容で、実に多彩な欠乏症状の中で、特に、舌痛症について、2002.10から2009.03.11 までの亜鉛欠乏症疑い患者、598名中、舌痛を訴えた症例、41名、48症例についてまとめた結論である。個々の症例の分析結果を総合すると、少数の特殊な例外を除いて【いわゆる舌痛症は亜鉛欠乏症である】と言えると考える。

その後、2013.10.11開催の第58回日本口腔外科学会 学術大会で、『こんなにも多い亜鉛欠乏症!! 食欲不振?褥瘡?そして舌痛症も?』と題して、亜鉛欠乏症の一般的知見の周知を目指した講演をした。特に、多彩な症状を呈する亜鉛欠乏症ではあるが、日常臨床でしばしば遭遇する主要な欠乏症状の食欲不振、褥瘡、そして主に本学会で問題の、その原因について諸学説が唱道されていた舌痛症について、2002年より2013.04.30までに舌痛を訴えた全症例68名、80症例について、亜鉛補充療法の治験結果につき報告。それまで診断には除外診断が主とされていた舌痛症については、その大部分は亜鉛欠乏症であると考えられるから、専門家集団として、是非舌痛症と亜鉛ついて検討するように求めた。

さらに、2016.11.27 第61回日本口腔外科学会では、『再び多数で、多彩な亜鉛欠乏症!!』~舌痛症及び舌・口腔咽頭症状はもちろん、口腔内扁平苔癬も?~の演題のもと、2009年までの41名、48症例について、それぞれの治験内容を詳細に分析紹介し、2013年までの治験結果でも、その内容は殆んど同じ傾向であることを述べた。また、これまで難治とされていた口腔内扁平苔癬や白斑症も亜鉛欠乏と関係ありそうであることを症例を上げて述べた。

***亜鉛欠乏症のホームページに移動

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【記】

2002年7月から2009年3月までの症例分析から『舌痛症は亜鉛欠乏症である』と考えた内容の図表である。

舌が痛い、口内が痛い、滲みる等などと、何らかの舌痛症状を訴えた症例、41名中、治癒後、暫くして再発した6症例に、再再発した1症例、計48症例中、22名、29症例が治癒した。22名は少ないように見えるが、それ以外の7名は治癒症例とほとんど同様の経過や血清亜鉛の動きも、ほとんど同様の変化を示していたが、受診中断などで最終的に確認できなかったものであり、特に、某大学病院で亜鉛のアレルギーと言われていた患者は、必須元素であり、亜鉛の原子核の電子の配置のことを考えれば、ありえないことであるが、亜鉛アレルギーの恐怖心から中断したものであった。

判定保留者の多くが、マスコミ報道などで押しかけて、初診のみや再診程度で治療に乗らず判定不能例であるが、治癒症例や可能性の高い症例と特別の差異は認められていない。その中で、1例はその後は他の医療機関での補充療法で治癒症例で、本来治癒症例とすべきものであった。

非療・他例は、口腔内の損傷や、精神科的なものか?非舌痛症と分類されるもの。

表1:舌痛症患者全症例一覧表(既出) ▼▲ここをクリックすると展開/収納

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【記】

亜鉛欠乏症の存在に気が付いてから、表計算ソフトのエクセルで集積・管理している亜鉛欠乏症疑い患者が800名となったところで、2009年と同様の亜鉛補充療法結果の整理・分析の図である。

何らかの舌痛症症状を訴えた症例68名、80症例(再発10症例、再再発2症例)であった。亜鉛補充療法で治癒症例は44名、56症例である。44名中、男性6名、女性38名で、いわゆる舌痛症における男女比も他の報告論文と同じ男女比で、女性が多い比率である。

治癒可能症例は前回の7名から1名を引いて、治癒症例に加えた。

判定保留者は3名増であるが、舌痛症の判定保留者に限らず、亜鉛補充療法の難治傾向症例の多くには、薬剤、特に、多剤服用者に多い傾向がある様に最近気が付いた。現在の亜鉛欠乏症の臨床の現場では、亜鉛のキレート作用等などの薬剤の構造や薬理相互作用等など判らないことばかりであるが、臨床経験からは相互作用のある多くの薬剤が存在する様であり、特に高脂血症や骨粗鬆症、PPIや利尿剤、抗パーキンソン病薬や向・抗精神病薬等などが目立つ傾向がある様に思われる。しかし、多くの薬剤に問題がありそうで、特に多剤服用者、それも多医療機関の受療者は治療が難しい。

非療・他では、三叉神経の帯状疱疹の発疹発症前で耐えがたい口内の痛みを訴えた症例や三叉神経痛の治療歴があり、現在も治療が続いている症例や一般状態や極端な多剤服用で補充療法に入れない症例等などである。

こうやって分析してみると、少数特殊な症例を除いて、【大部分のいわゆる舌痛症は亜鉛欠乏症である】と言って間違いでないと考える。多くの症例を持つ学会の検討を期待する。

表2:新・舌痛症患者全症例一覧表(表1に追加で新しい事例を加えた物)

※1:M・・・月(ヶ月)/W・・・週/〇数字・・・診察時の投与日数+次回薬のみでの投与日数
・灰色の部分は、治癒しなかった者で今回の集計よりは除外
・緑色の部分は今回新しく追加した事例




初診時 症状 経過


※1
再発時 再々発時 その他の症状・備考









- 1 f 84 69 × 舌が滲みる 02/07/02- 口渇、口乾、味覚障害、うつ?
1 2 f 88 42 舌痛 02/10/29-11/26 1M 57 うつ?口内不快、食欲減、下痢
2 3 f 68 61 舌ひりひり 03/12/17→04/02/** ⑤W * 口渇 (他医でプロマック継続◎)
3 4 f 89 55 舌痛 02/11/12-11/29 1M 食欲、元気度、うつ
- 5 m 87 78 舌が滲みる 03/03/24 X 0 口内苦い
4 6 f 62 80 舌痛 03/05/07-08/27 3M 64 * (-)
5 7 f 85 64 舌が滲みる 03/11/29-04/01/27 2M 61 食欲不振 服薬?
6 8 f 85 66 舌、咽が滲みる 03/08/19-11/18 3M 皮膚、咽頭、食欲、多彩
- 9 f 86 70 口内ヒリヒリ感 03/08/18 X 0 多剤、認知
7 - m 78 51 口腔内痛 11/9/5~9/28 3W 食欲低下、味覚異常、嚥下障害
8 10 f 77 58 口内ヒリヒリ感 03/10/08ー04/02/24 4M 味覚障害、口内、咽頭痛
9 11 f 95 55 舌炎、舌滲みる 04/02/24-04/30 2M 舌が荒れる
- 12 f 80 56 ◯△ 滲みる感じ 04/02/09-04/05(+2W) 2M 口内の荒れ
- 13 m 68 65 ◯△ 舌痛 04/07/05-11/22 5M (マ)口唇痛、精神科
- 14 f 68 72 ◯△ 舌痛 04/07/08-11/10 4M (マ)食欲不振、苦み
- 15 f 69 74 舌痛感じ? 04/07/06-07/26(+4W) ⑥W (マ)口内苦い?
- 16 f 69 62 舌痛 04/06/30-07/05(+1W) ②W (マ)食欲不振
- 17 f 64 73 舌痛 04/07/08(+4W) ④W (マ)食欲不振、舌ざらざら感
- 18 f 66 97 舌痛 04/09/14-10/18(+2W) ⑥W (マ)口乾、違和感、初期例
10 - m 74 ? 舌痛 11/8/29~11/21 11W 搔痒症、食欲減?
11 19 f 66 70 舌痛 04/09/22-07/05/20 味覚障害、食欲不振、口唇痛
- 20 m 62 82 舌炎所見 滲みる 04/11/01-11/19 ②W 舌炎 、白苔 デキサルチンに変更
12 21 f 80 62 舌の滲み 06/06/20-07/24 1M 口角炎、食欲不振、舌の荒れ感
13 22 f 43 61 舌炎ピリピリ 04/06/21-07/27 1M 食欲不振
14 23 f 74 59 舌痛 04/03/08-04/12 1M 味覚異常、食欲不振、違和感
15 24 m 75 72 舌痛 05/03/28-05/06 1M 口乾、Fe欠乏性貧血
16 25 f 81 56 舌滲みる感じ 05/07/03-09/29 3M 72 舌違和感、口唇痛
17 26 f 75 58 舌滲みる 05/06/24-12/20 6M 口内びらん、義歯の潰瘍
18 - f 75 58 舌滲みる 05/6/24~11/22 20W 義歯の潰瘍、うつ
19 27 m 67 65 舌先のシビレ感 06/04/24-08/22 4M しびれ?痛み?味覚異常
20 28 f 72 86 舌痛 06/03/22-05/30 2M 97 食欲不振、うつ
21 29 f 63 61 ◯△ 舌、口内ピリピリ 06/07/03-10/24 4M 口角炎、口唇乾燥、口内違和
- 30 f 73 92 口内が滲みる 06/08/01-08/28 ④W びらん。
22 31 f 73 75 舌先ヒリヒリ 06/10/31-07/02/13 4M 食欲不振、違和感、うつ
23 32 f 71 67 舌尖の痛み 06/11/28-07/02/13 3M アフタ、違和感、口内炎様
- 33 f 81 77 ◯△ 舌痛 07/01/10-06/05 5M 味覚障害、食欲不振
24 - f 84 77 ◯△→◯ 舌痛 07/1/10-?? 16W 味覚異常、食欲不振
25 34 f 64 64 舌が滲みる 07/03/12-07/23 4M 違和感、口内荒れ感
26 35 f 77 74 舌痛 07/03/18-05/15 2M 71 口角炎
27 36 f 79 65 舌痛 07/04/17-08/10/21 食欲不振、味覚障害、皮疹
- 37 f 71 85 × 舌 滲みる? 07/12/18 X 口内違和感、損傷、精神
- 38 f 62 71 舌痛のみ 07/06/28-08/22(+8W) ⑪W 効果無し症例? 副作用?
- 39 f 74 87 ◯△ 舌痛 08/01/26-05/23 4M 金属アレルギー?中止例
- 40 f 67 72 ◯△ 舌痛 08/12/03-追跡中 4M 口内ガサガサ感
28 - f 71 43 舌ヒリヒリ 08/7/23-8/27 4W 61 1年余前から掻痒、舌症状
29 - f 54 64 辛い・熱いもの滲み 08/11/11-11/25 2W 足底剝皮、口内炎、口角炎
30 - f 67 72 ◯△→◯ 舌痛 08/12/3-09/3/10 13W 口内ガサガサ感
31 41 f 61 56 舌痛 08/11/05-09/01/28 3M 違和感、口角炎、口唇炎
32 - f 66 54 舌痛 09/4/7-5/18 6W 口角炎、口乾
33 - m 75 70 舌の中程の痛み 11/7/20-12/19 6W 舌痛のみ
34 - m 66 89 舌痛 11/3/2-11/8/2 20W 舌痛のみ、徐々に軽快
35 - f 75 78 舌痛 11/3/7-12/2/1* 40W 口角炎、アフタ、口唇炎、口乾
36 - f 73 75 舌痛 11/3/7-12/2/1 48W 口角炎、口唇炎、違和感
37 - f 69 55 舌痛 11/3/9-6/8-12/4/4 50W 口内違和感、口乾
38 - f 83 73 舌痛 13/3/25-3/27 4W 口乾/不快感、食欲不振、フフタ
39 - f 63 76 ◯△→◯ 舌痛-火傷のごとく痛む 11/12/12~12/3/12 12W 64 変動して徐々に軽快
40 - f 74 78 舌痛 12/6/27~12/4 21W 口唇炎、口角炎
41 - f 70 66 辛いものが滲みる 12/5/25~10/17 16W   口内違和感
42 - f 70 71 舌痛 12/8/20~9/24 5W 口内違和感、口角炎
43 - f 83 62 舌滲みる 12/10/31~む13/3/4 17W 味覚障害、食欲不振
44 - f 57 65 舌痛 10/12/27~11/4/8 12W 65 口内の荒れ、口内炎、アフタ
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【記】

亜鉛補充療法による効果の発現・軽快・治癒については、亜鉛欠乏による舌痛症 44名の中で、33名が6ケ月以内で治癒・軽快した。

数か月から年余を要している症例については、昔の例もあり、完全解明された訳ではないが、連用薬剤、特に多剤服用者に多い傾向があり、不要の薬剤を除いたり、服用法の変更など複雑な論理的亜鉛補充療法が必要となることが多い。血清亜鉛値も、低値のことも、高値のこともある。

本当かどうかは不明であるが、腸管内でキレートを作成して亜鉛の吸収障害が生じて、亜鉛不足となり、低血清亜鉛値を呈する場合もあり、体内に吸収された亜鉛が強固なキレートを作成して、高血清亜鉛値であるが、有効な亜鉛が少なくなり、亜鉛欠乏症が発症することもあるのかもしれない。

多剤服用例についてはもっと情報の蓄積と薬学者等など多くの関係者の研究が必要で、これからの問題の一つである。

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【記】

この症例は、初診時血清亜鉛値もそれなりの低値で、補充療法1ケ月、2か月、3か月と典型的な補充療法中の亜鉛欠乏症のパターンで、Al-P値もそれなりの変動である。舌痛症状の軽快は一般にこんな変動をするが、早期に反応する潜在的症状やその他の症状の軽快が有力な亜鉛欠乏症の改善の傾向を示し、自信を持って補充療法を施行した。

症例1

40代 女性

【初診日】 2013.06.19
【亜鉛欠乏症状】 亜鉛欠乏症:舌痛症・味覚異常
【既往歴】 2013.06.19: 我慢できないほどの舌痛を訴えて初診。味覚異常もある。 舌に肉眼的異常所見を認めず。血清亜鉛、Al-Pを含む血算、生化学検査。 典型的な舌痛症なので、検査用の採血を済ませた後、初診時より、プロマック(75)2T 朝夕分2 投与亜鉛量34mg/日の処方を開始。 Zn:63 Al-P:263

07.11: 舌痛、苦味は強いが、食欲が出て、空腹感も出る。(潜在的症状に気づく)
潜在症状の改善傾向を認め、特別の副作用なく、試行の治療継続を決定。
特別の検査無し。

07.17: 舌痛良くなったり、再発したり。
症状は変動するが、補充療法開始1ケ月後の特徴的な血清亜鉛値高値。
Zn:100 Al-P:308

08.21: 舌痛の変動あり、すっきりしないが、掻痒は軽快(一部の潜在症状の軽快)
舌通は変動しているが、血清亜鉛値、Al-P値は予測の通りの変化である。
Zn:80 Al-P:311

10.18: 食欲良好、体重増。口内の苦味無し。舌痛、痒み無し。 Zn:80 Al-P:322

11.25: 舌痛この1ヶ月間気になった。強い?? 苦味あり。
経過の変動は我慢して経過の追跡の時期。

2014.01.29: 苦味もなく、舌痛も楽になり、余り困らなくなった。
処方を受け、受診中断
Zn:101 Al-P:298

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【記】

再発症例

2013年の亜鉛欠乏による舌痛症患者であるが、亜鉛補充療法で典型的な治癒経過をたどって、1月に中止した。

春先から、今回は舌痛はないが、口内の苦み、口内違和感、食欲不振、倦怠感、アフタ性口内炎、<花粉症>等など生じ、11月になって、口内の苦みと食欲不振を主訴として再受診。いがらっぽさの口内違和感、掻痒、<疲労感・朝の起きにくさ>等などの症状を示しつつ、再度の亜鉛補充療法にて同様に軽快治癒していった。多くは日頃の臨床で、一般的症状と軽視されている症状であるが、このような治癒・軽快が生ずる。ここで、まだ、症例が充分でないが、特殊な<疲労感>、また、<花粉症>など、総てとは言わないが、亜鉛欠乏症の可能性があるもので、検討・追跡いただければと思う。

口内の苦味(再発) 舌痛はない。 春から口内違和感 食欲不振 倦怠感
亜鉛欠乏症再発 花粉症? 口内の苦味再発、食は9月までは良かった。アフタ口内炎2W

症例2

40代 女性(症例1の患者 再発)

【再診日】 2015.11.09
【既往歴】 2013年の亜鉛欠乏による舌痛症患者(症例1)であるが、亜鉛補充療法で典型的な治癒経過をたどって、1月に中止した。
春先から、舌痛はないが、口内の苦み、口内違和感、食欲不振、倦怠感、アフタ性口内炎、<花粉症>等など生じた。
食は9月までは良かった。
【亜鉛欠乏症状】 口内の苦み、食欲不振
【現病歴】 2015.11.09: 口腔内の苦味、食欲不振で再診.
再受診日より、プロマック(75)2T 処方
Zn:64 Al-P:291

12.21: 食欲出てきた。苦味あまり変わらず。いがらっぽさあり。掻痒余り変わらず。

2016.02.01: 苦味困らず。いがらっぽさ軽快。食欲、味良好。体重増。
気が付くと疲れなくなった(潜在症状)。
Zn:95 Al-P:352

03.23: 口内の苦味、掻痒無しとは言わぬが苦にならない。 Zn:73 Al-P:303

05.09: 食事が美味しくなったのがうれしい。

07.04: 全体の症状はよい。次回より、プロマック(75)1T の維持量に!!
尚、本患者は花粉症あり、花粉症も亜鉛と関係ある可能性がある。

この症例、何故亜鉛不足が生ずるのか不明で、プロマック1錠の維持療法に移行した。血清亜鉛値、Al-P値を時々チェックするのが良い。なお、Al-P値はまだ安定した法則性を認めていないので、アイソザイムを含めて、どなたか研究していただければと思う。

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【記】

いわゆる舌痛症と併発しやすい亜鉛欠乏症の症状のなかで、しばしば訴えない潜在傾向の症状。これ等の症状については初診時の問診や亜鉛補充療法の経過の中で確認・追跡するのが良い。

食慾などは、しばしば現状や小食が普通であると思っていることが多く、亜鉛補充療法の早期に、空腹感が生じたり、食欲が亢進して、普段との違いに気が付くことがあり、有力な変化である。

掻痒や慢性の皮疹等も、元気度も、疲労感も案外いつものことと気が付いていないことが多い。

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【記】

何故?亜鉛欠乏で舌痛が生ずるのか?いわゆるリュウマチと言われる慢性疼痛などの発症と亜鉛イオンとの関係を示唆する基礎的論文の可能性がある。

リュウマチの痛みや鎮痛剤が継続的に処方されている慢性の疼痛に、亜鉛が関係している可能性もある。

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【記】

亜鉛欠乏で、慢性的疼痛が制御できない基礎的説明の一つを示唆する論文と思われる。

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【記】

本症例は、いわゆる舌痛症でなく、肉眼的にも明らかな所見があり、病理学的にも口腔内扁平苔癬と診断されたものである。

ただ、歯科、口腔外科関係で述べられている白斑症などと共に、難治性疾患ではなく、もしかすると一般の皮膚疾患と同じく、粘膜の生成・維持の異常によるものかもしれない。白斑症と診断された何例かも亜鉛補充療法で治癒している。

多くの症例を扱っている医療機関で、是非追試をしていただきたいものと思う。

症例3
【初診日】 2015.10.07
【既往歴】 歯科受診:歯科医療を受ける。
2015.09のはじめから、舌の左下に痛みとただれがあり、歯科を受療。 
〇〇医療センター口腔外科に紹介され、口内炎と診断され、消毒とうがい薬が処方された。
1cmx数ミリの細長い白色の線状の病変であった。耳鼻科のものではないかといわれた。
これは一週間ほどで治まった。その後、右側に同様のかなり大きなビランが出来た。
内科受診し、ネキシチウム、黄連湯、ポラプレジンク、サリベート、シナール(顔のしみ)等など処方される。
【基本傷病名】 口腔内扁平苔癬
【亜鉛欠乏症状】 亜鉛欠乏症:口腔内扁平苔癬、舌痛
【現病歴】 2015.10.07: 初診、一般的検査と亜鉛、写真撮影。舌痛が少し、飲み込みに違和感。食欲あり Zn:58
その他血算、
生化学WNL

10.14: 右の下口唇にもビランが移る。***病院 Dr.受診中。補充療法はそこで。

10.21: 口腔内扁平苔癬の所見はかなりなくなった。ただし、苔癬のあった部分の痛みがあって、食べたり、辛いものが痛い。しゃべると痛い。唇もひりひりとした痛み、右側の喉の飲み込んだときの痛み。朝より夕方に悪い。

11.16: 舌痛についてはかなり良くなった。80~90%良くなった。口唇痛も、喉も良い
プロマック2T分2。東京の**総合病院歯科 病理組織:口腔内扁平苔癬と診断をうける。
Zn:76 Al-P:228

12.06: 舌痛はかなり良い。食欲もあり。腹痛あった心配して受診。

2016.01.04: 舌痛は、日に2~3回痛いと思うことあるが、はじめの頃の酷さなし。

01.25: <舌の痛み、朝起きた時あることもあるが、全く痛みを忘れている時が(1/2日)ある。食事は食べられるが、熱いもの辛いものはやはり駄目。
プロマック以外の服薬はない。血清亜鉛値の上昇ややゆっくりか?
所見:細いレース様の白みはある様に思われるが、発赤ビラン部はない。

02.29: 3mm×15mm程度の透き通った局面あり。
舌の痛みは良くなったり、悪くなったり。舌尖であったり、側面であったり、下口唇の内側であったり。痛みの程度は可成りよい。20%程度である。

04.06: 良いとき悪いときあり、偶に一日痛くないときあり。痛さについては 3/10。
一日で朝夕に感じて、昼は感じない。
所見:舌にやや白いところ残っている。 写真撮影
Zn:67 Al-P:206

04.13: 亜鉛予想のような上昇示さず。特別の薬剤の服用もない。
--->プロマック2錠・1回/日とする。
コメント

[腸管内濃度の関係で吸収が臨床的には促進されることがある様である]

 亜鉛補充療法は投与の亜鉛製剤の薬理作用で多彩な諸症状が軽快治癒するのでない。ポラプレジンクであろうと酢酸亜鉛であろうとその薬理作用でなく、含有されえる亜鉛の生体内作用によるので、如何に吸収されるか?その薬剤の副作用がどうか?などが主要な関心事である。
 その意味で、プロマックやノベルジンンの保険適用がどうのこうのと言うのは変!?


05.11: 自覚的に大分良くなった。痛みは、殆ど痛いときがあったなと言う程度。
痛みも軽い。痛みの出るときは側面。4月の終わり頃から良くなる。
所見:粘膜所見も大変良くなった。生検時の糸の部分の瘢痕程度。
2ヶ月分処方を持って、、、。
Zn:74 Al-P:205

10.17: その後受診せず。電話連絡で受診。
口内の痛みなく、白い斑殆どなし。食欲も良で、皮膚の掻痒も困ったこと無し。
Zn:66 Al-P:195

10.24: Znは元に戻ったが、困ったこと、症状がなく、経過見とする。

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